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37%の食料自給率問題と、それを狙うアグロバイオ企業の戦略 – 種子法廃止、種苗法改正、農業競争力強化支援法がもたらす影響 –

コロナウイルスの影響により輸入制限、物流制限のリスクが高まっています。また、経済破綻を機に国家間の緊張の高まり、戦争を含めた混乱も想定されます。それに伴い「食料危機」というワードが聞こえるようになってきました。

今回の有事において、日本の食のあり方を見直すべき時が来ていると実感します。
本記事では、日本の低い食料自給率と、その低い自給率を狙うアグロバイオ企業の戦略を「種子法廃止」「種苗法改正」「農業競争力強化支援法」と絡めてお伝えします。

点では見えない近年の食分野における法改正が、つながりを持って見えることを目指しています。


日本の食料自給率は約50年で凡そ半分(50%)に下落しました。平成30年度の食料自給率は37%です。

各国と比較しても最低の水準となっており、如何に日本が食料自給率の低い国かがわかります。

もし食料危機が本格化してきた時、日本は低い食料自給率の中で、自国民の食を凌いで行く必要が出てきます。
その自国の「食料自給(食料保障)」または「食料安全」に対して障壁となるのが、ここまで記事でとりあげてきた種子法廃止種苗法改正の問題です。

種子法廃止、種苗法改正の問題を一言で言い表すと「外資・大手アグロバイオ企業に日本の食を売却している」ということに集約できます。

そこで、外資・大手アグロバイオ企業が日本市場をどのように見ているのか?ビジネス的な視点で見ていくことで、日本の食料自給、食料安全に迫る危機を俯瞰して解説できればと思います。


まずは「ジャンル」「強化施策」という欄をご覧ください。
ジャンルとして、日本の食分野を「主要農作物」と「野菜・果物」に分類しています。
次に、企業側の強化施策として、ビジネス上の参入においては他社より優れた「競争力」と、購入の必然性を高めるための施策が必要であるため、今回の食分野においては「自家採種禁止(農家の毎回の種取りを禁止し、種子の購入を絶対とする)」を観点に据えます。


分析を行うための視点を定義したため、その視点から現状を考察していきます。
まず「主要農作物」における競争力について。ここは従来、種子法により、政府、都道府県が守られていたため、価格、品質ともに企業が入る余地がありませんでした(価格だけでも企業米は10倍~20倍すると言われています。私達が国産のお米を品質高く、安く食べられるのは種子法があったためです)。
また、主要農作物の自家採種禁止については禁止されておらず、現在、米農家によっては毎年種を購入せず、自家採種をしながら生計を立てる農家も一定数存在しています。
次に「野菜・果物」分野の考察に入ります。競争力の項目については、すでに企業が参入を完了していると言えます。私達がいま食している野菜の殆どはF1種子(一代限りしか育たないが、味や品質、収量を均質にできる)となっており、必然的に企業から購入しています。また、日本の野菜・果物の種はモンサント社の係る種子が約7割を占めるとも言われています。
野菜・果物の自家採種については原則認められています。


つまり、アグロバイオ企業の視点からすると①主要農作物の殆どの市場、②野菜・果物では自家採種が認められている種子の市場について、確保できていないため、その参入ができていない市場を狙っていきたい思惑が見えてきます。


そして、アグロバイオ企業がこれら市場に参入するために行ってきたロビー活動が、種子法廃止、種苗法改正です。さらには、農業競争力強化支援法により民間企業に対して公的機関が蓄積してきた知見を提供することまで明記されているのですから、企業優遇にも程があると言えます。
主要農作物の「競争力」分野においては「種子法廃止」と「農業競争力強化支援法」で公的期間の競争力を下げる狙いが見えます。更に、主要農作物、野菜・果物の自家採種禁止は「種苗法改正」でアプローチしていると言えます。 規制緩和や企業有利な法改正を行うことで、アグロバイオ企業が日本の食の殆どを掌握できるよう動いていることが俯瞰して見えてくるかと思います。


このように、最終的には日本国内の食分野の「全て」において、競争力を高め、自家採種を禁止にしていくことが狙いとなります。


食分野をアグロバイオ企業が握ることになると、農家をコスト面から圧迫し、私たち消費者の購入価格も引き上がります。
それだけでなく、遺伝子組み換え作物、ゲノム編集、農薬といった問題も一層浮き彫りとなります。
自社の利益を保つためには、国民の食料保障や安全も二の次になるでしょう。
食の価格は高い上に、安心・安定して食べられない国になることなど誰も望んでいないはずです。
ただでさえ低い食料自給において、その中身までを外資系を中心としてアグロバイオ企業に売り渡すことが危険過ぎることを、国民は自覚しなければなりません。

最後に「食の戦争(鈴木宣弘著・文藝春秋)」で取り上げられている言葉で本記事を締めくくります。

アメリカの農産物は政治上の武器だ。だから安くて品質のよいものをたくさんつくりなさい。それが世界をコントロールする道具になる。たとえば、東の海の上に浮かんだ小さな国(=※日本)はよく動く。でも、勝手に動かれては不都合だから、その行き先をfeed(飼料)で引っ張れ

アメリカのウィスコンシン大学教授の言葉(P26)@大学内講義にて

食料自給はナショナル・セキュリティー(国家安全保障)の問題だ。皆さんのおかげでそれが常に保たれているアメリカはなんと有難いことか。それにひきかえ(どこの国のことかわかると思うけれども=※日本)食料自給できない国を想像できるか。それは、国際的圧力と危険にされされている国だ。

ブッシュ元大統領の言葉(P17)@米国内農家向けの講演にて